頑張ったのに、評価は「普通」だった。どうしてこの評価なのか、説明されても納得できない。
人事評価への不満は、大企業で働く多くの人が一度は抱えるものです。評価は給料や昇格に直結するので、納得できないと、仕事への気持ちまで下がってしまいます。
人事制度のコンサルタントとして評価の仕組みを作る側から見ると、評価への不満の多くは、「評価が決まる仕組み」を知り、期初に手を打つことで小さくできます。
この記事では、評価が決まる仕組みと、納得できる評価を得るために本人ができることを解説します。
- 大企業の人事評価が決まる、基本的な流れ
- 本人の働きとは別に「調整」で決まる部分
- 納得できる評価を得るために、期初と期中にできること
- 人事評価に納得できず、モヤモヤしている方
- 評価面談で、何を話せばいいか分からない方
- 来年こそは、納得できる評価を得たい方
評価に納得できないのは、仕組みが見えていないから

評価に納得できないとき、多くの人は「上司が分かってくれない」と感じます。もちろん、上司の見方の問題もあるでしょう。
でも、それだけではありません。評価には、本人の働きとは別のところで決まる部分があります。そこが見えていないと、どんな評価でも納得しにくくなります。
評価の基本的な流れ
多くの大企業では、評価は次のような流れで決まります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 期初 | 目標を立て、上司と確認する |
| 期中 | 仕事を進め、必要に応じて進み具合を共有する |
| 期末 | 目標の達成度をもとに、上司が評価する |
| 評価の調整 | 部署や会社全体で、評価の分布をそろえる |
| 評価面談 | 上司から評価の結果が伝えられる |
前職では、評価は上司がつけていました。評価面談では、目標管理の結果を踏まえて、評価が伝えられる形でした。
執筆者正直に言うと、私は評価にあまり納得できなかった、という経験はありません。そもそも、評価をあまり気にしていなかったからです。
ただ、それは私が評価を気にしない性格だったというだけです。評価が給料や昇格に直結する以上、気になるのは当然のことです。
評価には「調整」で決まる部分がある


評価に納得できない理由として、一番知られていないのが「調整」です。
相対評価と、人数の割合
多くの会社では、評価ごとに人数の割合が決められています。たとえば「一番上の評価は全体の1割まで」といった形です。
そのため、目標を十分に達成していても、周りとの比較で評価が一段下がることがあります。これが、本人の働きとは別に決まる部分です。
評価には、相対評価や、評価ごとの人数の割合で調整される部分があります。本人がどれだけ頑張っても、この調整の影響を完全に避けることはできません。
だからこそ大切なのは、調整されにくい形で成果を示すことです。そのための手段が、期初の目線合わせです。
上司も、調整の中で評価を決めている
評価の調整は、上司の一存では決まりません。上司も、部署全体のバランスの中で評価を決めています。
「上司が分かってくれない」と感じたときも、実は上司は分かっていて、調整の結果そうなっている、ということもあります。
納得できる評価を得るために、本人ができること


では、本人にできることは何でしょうか。一番効くのは、評価の「前」に動くことです。期末の面談で不満を伝えても、結果はほとんど変わりません。
①期初に、期待を確かめておく
年度の初めに、上司が自分に何を期待しているのかを確かめます。大切なのは、「どれくらいできれば、どの評価になるのか」まで目線を合わせておくことです。
評価の基準を先にそろえておけば、期末に「思っていた評価と違う」というずれは起きにくくなります。
評価面談で本人ができる一番のことは、評価の前、つまり期初に、期待をしっかり確かめておくことです。どれくらいできれば、どの評価になるのか。そこまで目線を合わせます。
そのうえで期中にきちんとコミュニケーションを取っておけば、期末には不満のない評価を得られるはずです。
期初に確かめておきたいのは、次の4つです。
- 今期、自分に一番期待されている役割は何か
- どの水準まで達成すれば、どの評価になるのか
- 複数の仕事があるとき、何を優先すべきか
- 途中で進み具合を確かめるのは、いつか
②期中に、進み具合を共有する
期初にすり合わせても、そのまま一年放っておけば、上司の記憶は薄れます。期中にも、進み具合や手応えをこまめに共有しておきましょう。
上司が期末に思い出すのは、期中に共有された成果です。
③期末の面談では、理由を聞く
それでも納得できない評価だったときは、結果を責めるのではなく、「なぜこの評価なのか」を聞いてみてください。
理由が分かれば、次の一年で何を変えればいいかが見えます。調整の影響だったのか、自分の働きの見せ方だったのかも分かります。
評価面談で聞きたい3つの質問
評価面談では、結果を受け止めるだけでなく、次につながる質問をしてみてください。おすすめは次の3つです。
- 「この評価になった、一番の理由は何ですか」
- 「次の評価で一段上がるには、何が足りないでしょうか」
- 「来期、特に期待していることは何ですか」
責める口調ではなく、「次はもっと良い評価を取りたい」という前向きな姿勢で聞くのがポイントです。上司も、具体的に答えやすくなります。
不服を申し立てる仕組みは、あてにしない
会社によっては、評価に不服を申し立てる仕組みがあります。でも、それに頼るのはおすすめしません。
評価への不服を申し立てる仕組みは、一般的とは言えません。仮に伝えたとしても、文句を言った程度に受け取られて終わることが多いと考えています。
だからこそ、評価が決まった後ではなく、決まる前の期初と期中に手を打つことが大切です。
目標を具体的に立て、上司とすり合わせる方法は、こちらで詳しく解説しています。


すり合わせが「されない」職場もある


ここまで期初のすり合わせを勧めてきましたが、正直に言うと、前職ではすり合わせはあまり行われていませんでした。「まあ、これですよね」くらいの確認で終わることが多かったのです。
制度があっても、運用は職場によってまちまちです。だからこそ、すり合わせは待つのではなく、自分から持ちかけるものだと考えておくのがおすすめです。
上司がすり合わせに前向きでない場合は、信頼できる先輩や、さらに上の上司に相談するのも一つの方法です。上司とどうしても合わないときの考え方は、こちらで整理しています。


評価だけが、自分の価値ではない


最後に一つ。評価は大事ですが、評価だけがあなたの価値を表すものではありません。
評価には調整が入り、上司の見方も入ります。一度の評価で、自分の力を決めつける必要はありません。
昇格がどう決まるのか、その仕組みはこちらで解説しています。


まとめ
人事評価への不満の多くは、評価が決まる仕組みを知り、評価の前に動くことで小さくできます。
- 評価には、相対評価や人数の割合で「調整」される部分がある
- 一番効くのは、期初に「どれくらいできれば、どの評価か」を確かめること
- 期中には、進み具合をこまめに共有する
- 納得できなければ、結果ではなく理由を聞く
評価は、期末に決まるのではなく、期初から始まっています。まずは今年度の目標を読み返し、上司と目線を合わせるところから始めてみてください。








