大企業で昇進できない理由|人事制度の仕組みから見る昇格の決まり方

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同期が先に昇格した。自分なりに頑張っているのに、なかなか上がらない。

大企業で働いていると、昇進のスピードが気になる時期があると思います。でも、昇進がどう決まっているのかを、きちんと説明できる人は意外と多くありません。

今は人事制度のコンサルタントとして、評価や昇格の仕組みを作る側にいます。その立場から言えるのは、昇進できない理由は、「制度の側」と「本人の側」の2つに分けて考えると見えてくるということです。

この記事では、大企業の昇格の決まり方と、昇進できないときに確かめたいことを、前職での実体験も交えて解説します。

この記事を読んでわかること
  • 大企業で昇格が決まる、基本的な仕組み
  • 昇進できない理由の「制度の側」と「本人の側」
  • 昇進が遅れていると感じたときに、確かめたいこと
こんな方に読んでほしい
  • 同期と比べて、昇進が遅れていると感じている方
  • 自分の評価が、なぜこうなのか分からない方
  • 昇格の仕組みを知って、打てる手を考えたい方
目次

大企業の昇格は、どう決まっているのか

まず、仕組みをそろえておきます。多くの大企業では、社員を「等級」という段階に分け、等級ごとに求める役割や給与の幅を決めています。

昇格とは、この等級が一つ上がることです。そして、昇格するかどうかは、多くの場合「評価の積み重ね」で決まります。

前職の場合:評価を積み重ねて、4〜5年目で最初の昇格

前職では、一般社員の等級は3段階でした。昇格に必要だったのは、毎年の評価の積み重ねです。

最初の昇格は、入社して4〜5年目だったと記憶しています。一定の年数と評価がそろうと、順番に上がっていく仕組みでした。

昇格を決める要素よくある形
評価の積み重ね毎年の評価が、一定の水準を何年か続けて満たしている
在籍年数今の等級に、決められた年数以上いる
試験・面接上の等級に上がる前に、論文や面接で確かめる会社もある
上司の推薦評価とあわせて、上司が昇格にふさわしいと推す

どの要素をどれくらい重く見るかは、会社によって違います。まずは自分の会社の昇格の条件を、人事制度の資料で確かめてみてください。

同期と差がつくのは、ほんの一部

前職では、昇格のペースは同期とほぼ同じでした。ほんの一部だけ、給料が早く上がる人もいましたが、大多数はそろって上がっていきます。

執筆者

一部に昇格の早い人はいましたが、当時はあまり気にしていませんでした。大部分の人は、同じくらいのペースで上がっていく印象でした。

大企業の昇格は、もともと大きな差がつきにくい設計です。だからこそ、少しの遅れが目立ち、気になってしまうのかもしれません。

昇進できない理由①:制度の側の理由

昇進できない理由の一つ目は、本人ではなく、制度の側にあります。

運用が「年功的」になっている

制度の上では評価で決まる仕組みでも、実際の運用は年功的になっていることが少なくありません。

つまり、一定の年数が経たないと、どれだけ評価が良くても上がれないという状態です。この場合、上がれないのは、あなたの力の問題ではありません。

人事制度コンサルの視点

大企業の昇格は、制度の作りとしては評価で決まる形になっていても、運用はほぼ年功的になっていることが多いと感じています。

そのため、若いうちは「上がれない」こと自体が制度の結果である場合があります。まずは、上の等級に上がるための年数の条件を確かめてみてください。

上の等級の「枠」が限られている

上の等級ほど、人数の枠は限られています。とくに管理職に近い等級では、空きが出ないと上がれないこともあります。

同じ評価でも、部署や年によって昇格できるかどうかが変わるのは、この枠の影響です。

昇進できない理由②:本人の側の理由

もう一つは、本人の側の理由です。ここは耳の痛い話も含みますが、打てる手があるのもこちらです。

評価そのものが低い

シンプルですが、評価が低いと、昇格の条件を満たせません。昇格が評価の積み重ねで決まる以上、一番の近道は、毎年の評価を上げることです。

自己評価と、客観的な評価がずれている

よくあるのが、本人の自己評価は高いのに、会社からの評価が低いというずれです。

自分では頑張っているつもりでも、会社が期待していることとずれていれば、評価にはつながりません。ずれの多くは、期待をすり合わせていないことから生まれます。

人事制度コンサルの視点

昇進できない本人の側の理由で多いのは、単純に評価が低いことです。そしてその裏には、「自己評価は高いけれど、客観的な評価は低い」というずれがよくあります。

このずれは、能力の問題というより、何をどこまでやれば評価されるのかを確かめていないことから生まれることが多いです。

会社の期待に応え、成果を評価につなげる方法は、こちらで詳しく解説しています。

昇進が遅れていると感じたら、確かめたい3つのこと

「自分は遅れているかも」と感じたら、焦って動く前に、次の3つを確かめてみてください。

確かめること分かること
①昇格の条件(年数・評価・枠)制度の側で上がれないのか、本人の側なのか
②自分の評価と、その理由評価が低いなら、何が足りないのか
③上司が期待していること自己評価と客観的な評価のずれ

①昇格の条件を、制度の資料で確かめる

人事制度の資料や、等級ごとの要件を読んでみます。年数の条件を満たしていないなら、焦る必要はありません。

②自分の評価と、その理由を聞く

評価面談では、評価の結果だけでなく、「なぜその評価なのか」を聞いてみてください。理由が分かれば、次の一年で何をすればいいかが見えます。

③上司が期待していることを、期初に確かめる

一番効くのは、年度の初めに、上司の期待を具体的に確かめることです。どこまでできれば、どの評価になるのか。そこまですり合わせておけば、ずれはぐっと小さくなります。

評価に納得できないときの考え方と、期初にできることは、こちらで解説しています。

昇格を早めるために、今できること

昇格が評価の積み重ねで決まる以上、打てる手は「評価を上げる」ことに集約されます。具体的には、次の3つです。

やることねらい
期初に、評価の基準を上司と確かめる自己評価と客観的な評価のずれをなくす
成果を、上司の上司にも見える形にする評価の調整の場で、名前が挙がるようにする
異動で、評価する人を変える評価する人との相性が原因なら、環境ごと変える

評価の基準を、期初に確かめる

「どこまでできれば、どの評価になるのか」を、年度の初めに上司と確かめます。これだけで、期末の「思っていた評価と違う」は大きく減ります。

成果を、上司の上司にも見える形にする

評価は、上司だけで決まるわけではありません。部署全体で評価をそろえる場では、上司の上司も評価を見ています。

報告の機会などを通じて、上司の上司にも自分の仕事を知ってもらうことが、調整の場での後押しになります。

評価する人との相性なら、異動も選択肢

どれだけ頑張っても評価が上がらない場合、評価する上司との相性が原因のこともあります。そのときは、異動で評価する人を変えるのも一つの手です。

社内公募で異動するときに気をつけたいことは、こちらで書いています。

昇進が遅れていても、転職では不利にならない

昇進が遅れていると、「転職するときに不利になるのでは」と心配になるかもしれません。

でも、前の会社での等級や、昇格が遅れていたことは、自分から言わなければ見られることはまずありません。

人事制度コンサルの視点

転職のときに、前の会社での等級を伝えることは、基本的にありません。私自身の転職でもそうでしたし、今の仕事で見ていても同じです。

転職で見られるのは、等級ではなく、何をしてきて、何ができるかです。

転職市場で見られるのは、肩書きではなく、確かめられる成果です。自分の市場価値の調べ方は、こちらで解説しています。

昇進だけが、キャリアのものさしではない

ここまで、昇進の仕組みと理由を見てきました。でも、昇進だけがキャリアのものさしではありません。

私自身、前職では研究開発のマネジャーとして働く自分を、イメージできませんでした。マネジメントそのものが嫌だったわけではなく、その会社での管理職の形が、自分の方向と合わなかったのです。

昇進が遅れているのか、それとも昇進に気持ちが向いていないのか。その違いを見分けることも大切です。昇進しても嬉しくない、という気持ちについては、こちらで書いています。

昇進の打診を受けて迷っているなら、断るとどうなるのかをこちらで整理しています。

大企業でのキャリアの方向性は、マネジメント以外も含めて3つに整理できます。

まとめ

大企業で昇進できない理由は、制度の側と本人の側に分けて考えると、打つ手が見えてきます。

  • 制度の側:運用が年功的で、年数が経たないと上がれない。上の等級ほど枠が限られる
  • 本人の側:評価が低い。自己評価と客観的な評価がずれている
  • 確かめること:昇格の条件、自分の評価とその理由、上司の期待

焦って動く前に、まず仕組みを知ること。それだけで、昇進への見え方は大きく変わります。

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この記事を書いた人

現職:人事制度コンサルタント
京都大学卒業後、大手素材メーカーにて研究開発、マーケティング業務に従事。特許出願ならびに新事業の立ち上げに尽力。社内副業や希望異動も積極的に活用。
働く喜びを感じる組織、個性を伸ばす個人を実現するため、キャリアチェンジ。

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